<PC3〜PC4>
食欲がないためキレートレモンだけを購入。
この酸っぱさと炭酸がクセになるんだよな!
PC3 211.8km 08:30(スタートから12時間30分)に通過
時間貯金は1時間半ちょっと。まだ余裕がある。
休憩を10分だけ取り、先に進むことにした。
前のランドヌールたちがAv.7~10km/hで走る。そのペースについていけず置いていかれる。このダルさはなんだ…。塩分タブレットを食べてこまめに水分補給しよう。
ポカリスエットが入っているはずのボトルを口に咥えて握るとボシュっと虚しい音が響いた。
残っているのはもう一方のボトルに入ったぬるいむぎ茶300mlだけのようだ。
暑い。身体が前に進むことを拒んでいる。喉の乾きを感じる。一刻も早く水分補給しないと。ボトルの中身は残り少なくなっていたが、自販機は見つからない。
寝不足と暑さで吐き気がする
冷やさないと熱中症になりそうな気がしたから仕方なく麦茶を首と頭にかけて冷やした 塩分と水分取ったから横になって寝る— くろまめ@自転車ブロガー (@Tsunozarashi) August 11, 2019
実はこの時、左手にある茂みで5回吐いていた。
ボトルに残った麦茶を200mlくらい太い血管のある首や熱くなった頭にかけ身体を冷やす。
む、麦茶の香りに包まれている…。そりゃ、そうだ。
塩分タブレットと麦茶の残り100mlを飲み、日陰で横になって目を閉じた。
アスファルトに寝るのは痛かったから、せめて頭だけは痛みから守りたくて反射ベストとウェアを脱いで枕代わりにした。
この姿を側から見たら、真夏のアスファルトに寝そべる半裸のキチガイ自転車野郎である。
ちょっと頑張ってたけどもうタイムはどうでもいい いのちをだいじに
— くろまめ@自転車ブロガー (@Tsunozarashi) August 11, 2019
ここの日陰で30分寝る pic.twitter.com/IC03BVu7Zx
— くろまめ@自転車ブロガー (@Tsunozarashi) August 11, 2019
あ、そうだ!大型サドルバッグに余った麦茶を取っておいたはず!これを飲んで命拾いをした。
万が一、熱中症が悪化して動けなくなったとき誰かが気づいてくれるかもしれないからTwitter上に現在地が分かるように地図を表示してから寝よう。
エンジン音がする…。あれ目の前に白い軽トラが停まっている。すると、お爺さんが運転席から降りてきた。
どうやらこの倉庫の持ち主のようだ。勝手に所有地で寝てしまったことをお詫びした。
無言だが笑顔を浮かべて頷くお爺さん。これは…許されているのだろうか。
少し体調が回復した気がするので、お礼を伝えて、再び走り出した。
先ほど横になっていた地点から1km先に自販機を見つけた。これで水分の確保ができる。
水2本と緑茶1本を購入。これでいつでも水かけで身体を冷やせるぞ。
最後まで悩んだハイドレーションバッグは置いていく
— くろまめ@自転車ブロガー (@Tsunozarashi) August 10, 2019
300km走るから重くて肩こりや腰痛の原因になると判断して装備してこなかったハイドレーションバッグを
もし背負って出走していたら、暑さにやられ吐くことはなかっただろうか。
徐々に体調が回復していくものの、スピードを上げられる体力はなく黄金のタレを発動。
事前に稼いでおいた時間を削りながらいのちをだいじにタラタラと走っていた。
田園地帯に入ると500mくらい先に4人のランドヌール?ランドヌーズ?を見つけた。
前に誰かいる方が心理的に安心するため、降りだけ飛ばしてその背中を追いかけた。
なんとか追いつき一番後ろを走ってる人に声をかけて気が付いた。
https://twitter.com/phantomone4
↑きなこさんのTwitterアカウント
この方は見覚えがある。昨年のBRM915米原600kmでご一緒したトリプルSR(1年でSRを3セット♡)を獲得したAR中部の猛者だ。
あの時は7人のギリギリ隊ランドヌールトレインに30kmほど乗せてくれた上にFINISH地点まで20km 残り90分の場面で確実にSR取ってこい!って送り出してくれたっけな。
※SRとは 仏語 シュペールランドヌール 日本語で「すごい自転車乗り」という意味。
1年で4つの距離カテゴリー(200km, 300km, 400km, 600km)を完走し、認定されてSR申請をすると獲得できる称号。
他にも東海地方の猛者であるランドヌールが揃いに揃っていた。
↑ジェベさんのTwitterアカウント
https://twitter.com/9kyokunokotae42
↑まーびんさんのTwitterアカウント
https://twitter.com/takachakko
↑ちょっこさんのTwitterアカウント
みなさんと一通り会話を交わしながら、一緒に長い坂をゆっくり登っていく。
しばらくすると、道路の脇で見知らぬランドヌールが満面の笑みで手招きをしている。
一体どうしたんだ?あっ、これは…!
そこには冷たくて綺麗な川があった!
つのだはもちろん頭から被ったぞ〜 水でボトルを満タンにした!
水を手に入れたジェベさん。
まーびんさんとちょっこさんも水遊びをしていた。
この川のおかげで長い坂を乗り切れたのは言うまでもない。
4人とお別れして、PC4まで残り10kmの地点までやってきた。
急勾配のアップダウンがさらに体力を削っていく。
GARMIN、お前もか。暑さで画面が真っ暗に。
再起動しようとしたがビクともしない。
260km以降の走行記録が残せないから、ここだけの話ちょっと涙目になってた。
<PC4〜FINISH>
いつしかジップロックに入れておいたブルベカードまでボロボロになっていた。
道の駅にあった売店は野菜販売と木工品がずらりと並んでいて補給食となりそうなものがほとんどない。
何も買わず売店を出る。
備考欄を読んでブルベカードに通過時間を記入した。
PC3で1時間半以上あった時間貯金がPC4では46分まで減っていた。
水分補給とフードポーチに取っておいた焼きタラコのおにぎりを胃に流し込み
20分だけ休んで40km先のFINISH地点へと向かった。
じゃあな、せんとくん!また来るよ。
サイコンが表示できないいま、頼れるのはキューシートとコマ図である。
しかし時間制限が迫るなか、備考欄と距離、進行方向を逐一確認して進むのはミスを誘発するし、得策ではない。
考えた末に、PC4を飛び出した2人を30m後ろで尾行するという姑息な手段に手を染めた。
うん、完走が何よりも大事。その後、登坂で追いついたので3人の横を颯爽と抜いていったe-bikeの話題で雑談をしていた。
そのe-bikeの人が反射ベストを着てたんだ。一瞬、豪脚ランドヌールかと思ったよ。
道路脇に名水があった。ここで飲む分は無料らしいのでたらふく飲んだ。
ついでに頭から豪快に水を被る。
お金を入れてボトル2本にも水を注ぎ蓋を閉める。
その後はランドヌール5人の集団に加わり、涼しい林道を降っていった。
FINISH地点の10km手前あたりでジェベさんが後ろからやってきた。
残り時間は1時間ちょっとある。ここまで来れば完走間違いなしだろう。
自販機で水分補給をしながら雑談をする。どうやら父と同じ年齢のようだ。
ハンドサインを欠かさないこのダンディなジェベ父さんはなんと愛知から三重の松阪まで自走できたらしい。
いま乗っているロードバイクを購入したのはたった1週間前とのこと。
この過酷な300kmブルベと自走往復250kmの合計550kmを走りきっていた。
いや…もう何してるんですかww。また新たな変態自転車乗りに出会ってしまった。
体力がかなり回復していたので青緑のお兄さん(最初から最後まで出会ったり別れたりしていた)とジェベ父さんとトレインを組んで35km/h巡航で残り2kmを走る。
<FINISH>
FINISH地点の武道館に辿り着いた。
会議室の扉を開けると、冷気が身を包む。そこは天国と呼んで差し支えない。
アホ顔でアッー!と声を出して静止したせいか、先に到着していたランドヌールやその家族の人?に笑われた。
運営スタッフの今野さんから完走タイムが告げられる。
ブルベカードに完走タイムや署名を行い、PC3とPC4のレシートの提出を求められた。
え?PC4って道の駅だっけ。あれ、おれ買い物してないからレシート持ってないや…。
あっ…これ、完走したけど必要条件を満たせずに認定されないパターンだよな。
今野さん:「ブルベカードが汗で濡れてる!濡らさないでね」
つのだ:「ごめんなさい。」
今野さん:「道の駅のレシートないの?ブリーフィングでもちゃんといったよね?」
つのだ:「すみません、聞き逃してました。」
今野さん:「道の駅を通過せずに290kmで戻ってこれるルートがあるから、レシートチェックをしているんです。」
つのだ:「…。申し訳ないです。(なんも言えねえ)」
自責の念で頭が真っ白になった。
今野さんに対して合理的、理路整然としていてルールに厳しいスタッフという印象を持っていたので恐らく認定してもらえないだろうと、しょんぼりして諦めていた。
一筋の希望の光を残して。
これは3週間前の今野さんが残したTweetである。
レシートを厳密に見て意味があるのは、中間PCがタイムアウトしてるかどうかを測定できる、というぐらい
これもレジ前ゴミ箱漁りの秘技を使えばなんとでもなるし、グループメンバーが代理レシート取ることでも不正はできる
ということは、レシートは誰一人現着してないという事態を避けられるにすぎない— Hayato KONNO (@hayavusa) July 19, 2019
ま、結局レシートチェックは
ルートNみたいな、一人~数人での証跡確保のために生まれたテクニックなんだから
BRMみたいに同時期に同一店舗のレシートをみんなで集める、という用途ではたいして証拠能力ない、というのが私の認識— Hayato KONNO (@hayavusa) July 19, 2019
この方は自分の主張を曲げることはしないだろう。
レシートを代理で取る不正はできてしまうのでレシートには証拠能力がないという認識を持っている。
しばらく間を開けて今野さんはこう言った。
今野さん:「メダルは購入ですね。1000円ください。」
つのだ:「え?いいんですか!?(やったぜ)」
メダルを購入できるということは認定されたということだ。
距離305.9km 獲得標高:不明(実測でも4000m前後はあったんじゃないかな?)15:20 完走タイム19:20
にゃ〜ん♪(疲れたぞ、早く温泉に浸からせろ)
最後までハラハラドキドキだったね!
無事にBRM810松阪300km真夏の夜のソロブルベを完走、認定されました!
300km 制限時間20時間
なんとか19時間20分でしました
真夏のブルベの過酷さを思い知った
今回メダルは後日発送みたい pic.twitter.com/j0OtP4lMSy— くろまめ@自転車ブロガー (@Tsunozarashi) August 11, 2019
りょうちんが居なくても目標達成をすることができた。
こうしてランドヌール2年生のつのだはようやく一人前のランドヌールになることができました。
次はどのブルベに出ようかな。
また何処かで会いましょう。
長文を読んでいただきありがとうございました。
to be continued…。